井上英治議員の「パートナーシップ制度を求める請願に対する反対討論」への抗議声明(令和2年9月春日部市議会定例会)

2020年10月27日
レインボーさいたまの会

井上議員は、「同性婚やLGBT条例に繋がる」と、当請願に反対しているが、我々LGBT当事者及び支援者としては看過できない意見・見解をいくつか述べている。宝塚看護大学の日高教授の研究でもLGBTの約6割にいじめ被害の経験があると報告されているように、「いないはず」とされてきたLGBT当事者が受ける困難は、LGBT法連合会の「困難リスト」*が示すように、社会生活のあらゆる局面に存在しており、ここ10年ほどで課題として浮上し始めたばかりである。

まず井上議員が根拠を提示せず「春日部市に存在しない差別だ」と主張していることに抗議する。議員は上記「困難リスト」を一読したことがあるのだろうか?実例を一般化したこのリストを眺めれば、同様の困難事例は春日部市でも起こり、しかも当事者の側から表面化させるのは困難だと想像できるはずだ。また春日部市に同性カップルが暮らしていても、戸籍・住民登録が認知しない中、可視化を躊躇するだろうと想像できるはずだ。

議員が共産主義に触れている部分では、「LGBTを支援する事が家族関係の解体」につながるかのような主張をしているが、この主張にも我々は抗議する。LGBT当事者が両親・きょうだいとの良好な関係を築いている例は無数にあり、同性カップルは相互を扶助し子供を養育している例も多い。「自助・共助・公助」を考えるなら、共助の単位として男女の夫婦になんら劣らない。

議員は、「人権相談を利用もせず」今回の請願に訴える事を批判している。相談により個別事例に解決や救済がなされる可能性は、確かにある。議員の主張通り「公正証書を利用」すれば、同性カップルは契約として権利保障をできる。しかし公的相談の結果で態度意識を改めるのは一部の人々に過ぎず、公正証書では社会の広範な意識を変える事にはならない。

今回の春日部市議会への請願の狙いは、比較的容易に実施できるパートナーシップ制度が、地域社会の意識変革に効果が大きいことから、これを旗印としてまず実施し、広範なLGBT困難の解消や社会へのインクルージョンを目指す政策を春日部市に始めてもらう事である。

今回の発言は、日頃周囲との関係に悩む多くの当事者を、さらに攻撃し自己肯定感を傷つけるものである。井上議員には、公的な市議会議員と言う立場から、あらゆる少数者課題に関して一定以上の理解が求められるのであり、当事者の困難を正当に直視し、今回の発言を撤回する事を要求する。

以上

* LGBT 法連合会「LGBT困難リスト」(第3版:2019.3.4)の確認は こちら