埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例可決に対する声明

令和4年7月7日

レインボーさいたまの会

令和4年7月7日、埼玉県議会本会議において、埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例が賛成多数で可決され、成立した。

当会は、発足時から、誰もがありのままで生きていける彩(いろどり)の国さいたまの実現に向けて、県下の自治体等への政策提言等を中心に取り組みを進めてきた。

本条例は、性的指向や性自認に関する差別的取扱いの禁止、アウティングの禁止、パートナーシップ・ファミリーシップ制度の整備、相談体制の整備等、これまで当会が要望してきた性的マイノリティに関する包括的な施策が概ね盛り込まれている。

埼玉県の調査結果では、「生きる価値がないと感じた」「死ねたらと思った、または自死の可能性を考えた」当事者の割合が6割以上いると報告されている。しかし、同条例案に対して、一部メディアや団体から、性的マイノリティが抱える現実を無視し、かつ非科学的な、差別や偏見を煽る批判が執拗に繰り返されてきた。

特にこのような「批判」によって傷つけられたのが、トランスジェンダーの人たちである。それらの批判の中には、社会的に弱い立場にある当事者が抱えている困難の実態や現実から目を背け、生きる希望までも奪う、深刻な差別的言動が含まれている。

そのような状況を改善するために、同条例の制定は、差別や偏見に満ちた社会に理解を促し、当事者や家族などが希望を見つけるための大きな一歩になると考える。

性的マイノリティの問題は人権の問題であり、特定の信条等により左右されるべき課題ではない。課題解決のために、性的マイノリティの立場に立った政治の強いリーダーシップが必要とされる。埼玉県内の基礎自治体におけるパートナーシップ・ファミリーシップ制度等の性的マイノリティ施策の広がりに続き、今回の埼玉県議会での賛成多数による条例制定を歓迎するとともに、同条例に基づく具体的な取り組みに期待する。

以上